「ちっ……仕方ねえ。宿屋にどうやら残りの金を忘れてきたようだ。またあらためる。お前らも行くぞ!」
 ギャロル一行は宝石ショップを退店する。
 そしてしばらく歩いた後、パーティーメンバーのひとりが彼にこう声をかける。
「なあ……ギャロル。手持ちの金は今ので全てだ。宿屋に帰っても、残ってなんかいねえぞ」
「そんなことは分かってんだよ!」
 パーティーメンバーに怒声を浴びせるギャロル。
(ああ──イライラする。あの無能を追放したっていうのに、どうしてこんな気分なんだ)
 不機嫌オーラを纏ったギャロルには、他のパーティーメンバーも近付けなかった。
「ちょっと遊びすぎたようだな」
 とギャロルは呟く。
 王都に辿りついてから──彼らは欲望のままに散財し、遊びまくっていた。
 浴びるほど酒を飲み、女を侍らせる。カジノにも行き、持ち金がなくなるまでギャンブルに興じた。