「日課……ってことは、これを毎日?」
「うん。僕はまだまだ弱いからね。これくらいしないと、他人に追いつけないんだ」
(フィルさんがまだまだ弱い……?)
 彼の言動に、シンディーは開いた口が塞がらない。
(あんなに強いのに、驕らずにまだまだ強くなるつもりですか? フィルさんはどれだけ立派な人間なんですか!)
 強いだけの人間なら、たくさんいる。
 しかしその上、これだけ自分を律することが出来る人間はなかなか他にいないだろう。
(わたし……強化魔法が使えるからと分かって、ちょっと調子に乗りすぎていたかもしれません)
 なら自分も後に続こう──と。
 シンディーは握り拳を作り、フィルにこう口にする。
「フィルさん! わたしもお付き合いします。わたしもフィルさんと一緒に鍛錬します!」
「おお、それは良い心がけだね……って、シンディーまで服を脱ぐ必要はないんだよ!?」