「わたしが……素晴らしい……」
 僕の言ったことを反芻するシンディー。
 貴重な強化魔法の使い手に出会えて、今の僕は興奮していた。
 さっきのお風呂場での動揺が一気に吹っ飛んでも仕方なかった。
「わたし……フィルさんの言うこと、信じてもいいですか? もっと自信を持っていいって」
「うん」
 真剣に頷く。
 するとシンディーは瞳にうっすらと涙を浮かべ、

「わたし……! 嬉しいです。今まで自分がポンコツで役立たずだと思っていましたから……この力があれば、みんなを守ることも出来ますよね?」

 と花のような笑顔を浮かべた。

 ──自分に自信がなかった少女。
 それはまるで花を咲かせる前の蕾のようだった。
 しかし今──彼女の才能が花開いた。

 そんな現場に立ち会えて、僕の方こそ嬉しくなるのだった。

《シンディー》

 翌朝。
「ふわぁ……もう朝?」