「ううん、それだけじゃないよ。これは魔法のおかげだ」
「魔法……? 誰のですか?」
「シンディー、君のだよ」
 そう言って、僕は彼女の顔を見る。
「わ、わたし? でもわたし、治癒魔法しか使えないはずなんですが……」
「君は今まで大きな勘違いをしていたんだ」
 そして同時に、シンディーがポンコツ治癒士と呼ばれていた理由がはっきりした。
「君のは治癒魔法じゃない。強化(バフ)魔法だ」
「強化魔法? それって確か、身体能力や魔力を向上させる魔法ですよね?」
「うん」
 今まで、彼女は自分の使っているものを治癒魔法だと思い込んでいた。
 そして他人に使ってあげる時も、そう言っていたんだろう。
 しかし実際は違う──本当は強化魔法だったのだ。
「今まで君は体の自己治癒力を高めていたに過ぎない。だから即効性がないし、治癒魔法に比べると効果が薄いものになっていた」