追放冒険者の魔剣無双~ボロボロの剣は最強の魔剣でした~

「お、落ち着こう、シンディー。そうだ。このままお風呂場の外に出よう。外に出たら、なんとかなるはずだ。そう、外には自由が広がっている」

 ──後からこの時のことを思い出すと──なんてバカなことを言っているんだと自分を責めたくなった。
 しかし女の子とお風呂に入るなんて初めてだし、こんな非日常的なことまで起こっているのだ。
 パニックになって、変なことを口走ってしまうのは仕方ない──と後から自分を慰めた。

「そ、そうですね。じゃあゆっくり立ち上がって──きゃっ!」
「わっ!」
 シンディーが立ち上がろうとした際──彼女は石鹸でも踏んでしまったのか、床に転倒しそうになった。
「シ、シンディー!」
 そのことをいち早く察知した僕は、すぐに後ろを振り返った。
 そして右手でシンディーの手を握り、左手で彼女の腰に手を回す。