「お疲れさん。フィル──お前はここで追放だ」

 ニヤニヤしながらこの冒険者パーティーのリーダー、ギャロルが僕にそう告げた。
「い、一体どういうこと!? なんでいきなり……」
「なんでだと? お前、そんなことも分かんねえのか。それは──雑用係はこのパーティーに不要だからに決まっているだろうが!」
 怒声を発するギャロル。
 彼の後ろでは他のパーティーメンバーも、嫌らしい笑みを浮かべながらその光景を眺めていた──。

 僕──フィルは冒険者だ。
 小さい頃、僕はどこにでもある英雄譚に出会った。
 その英雄譚では、冒険者の男が人々を助けながら旅をし、やがて巨悪に立ち向かっていく──という内容が語られていた。
 誰にも縛られることがなく、自由に暮らす冒険者。しかも弱い人たちを守る主人公の姿は、幼い僕には憧れだった。