蔵人所には宿直装束の男たちが集まっている。
 希々の相手を見つけるにはちょうどいい機会だ。

 とりあえず五位か六位あたりの位階の者であれば、今後生活に困らないだろう。
 ざっと見回して、候補者は三人。

「おぬし、未婚だったな?」
「はい」

「結婚はしないのか?」
「なかなかこれという姫が」と語り始めたの男の話によれば、通う女はいるのだが結婚は考えてはいないらしい。

「なぜだ」
「はあ、未亡人なのですよ」

 横から話に割り込んだ男が「年増の味はよいか」と下卑な笑いを浮かべ、当の本人も「死んだ魚のように反応のない生娘よりはよほど」などと薄笑いで返す。

 こいつらはダメだと呆れていると別の独身の男が「うちは気立てはいいんですが、いかんせん嫉妬深くて」と始める。しかもこの男、本妻にはどこぞの公卿の姫を狙っているというのだから話にならない。

「頭中将はどうなのですか?」
 居並んだ目が一斉に向けられた。

「結婚も女も面倒だ」

 皆がため息をつく。
 わかっていた返事だろうに。

「相変わらずですね。でも頭中将は、その気になりさえすれば選び放題ですから、羨ましいですな」
「ほんとほんと。妬ましいですわ」

 呆れたものだ。自分たちは十分好き放題しているではないか。

「そういえば、頭中将は最近かわいらしい女房を連れて歩いているとか」
「ほぉ、それは珍しい」