それが嫌で反論したことがあるが、扇が折れるほど殴られて、止めに入った末吉が足の骨を折るほど折檻された。

 かわいそうに末吉は、以来片足を引きずってしか歩けない。
 梅女も散々殴らて、髪を切られそうになるのを泣いて謝って止めた。

 私だけなら我慢できる。
 でも梅女や末吉がひどいめにあうのは耐えられない。

 だから今はなにを言われても我慢するしかなかった。


 はぁ……。

「姫さま、どうでした?」
「うん。それどころじゃなくてね」

「やっぱり……」
「でもいいの。私幸せだよ? 梅女も末吉もいるもの」

 考えてみたら、ふたりを連れて行けるわけじゃないもの。

 女房になったら、俸禄がもらえて、ふたりに楽をさせてあげられたのに。

 ただ、それだけが残念だった。