僕は今、妻と娘二人と仲良く四人で暮らしています。
 
 今でこそ、この幸せな生活が続いてることを誇りに思いますが……。
 結婚に至るまで、相手の親御さんに恋愛をなかなか認めてもらえず、かなり苦しみました。

 6年がかりの恋愛で、僕も妻もお互い苦しみ、耐え抜き、ようやく一筋の光りが見えてきた頃。
 やっとのことで、結婚の話があがります。

 なんだかんだあって、ようやく家族同士の話し合いも決まり、安心しきっていました。

 初めて、相手のご両親、妻と僕、そして我が家からキャベツとレタスが、顔合わせすることになります。

 ここで失敗すると、もう結婚できないんじゃないか? ってレベルぐらいの緊張感でした。
 本当にピリピリした空間で、息がつまりそうです。

 この日の集まりでは、結局、ちゃんと相手のご両親から「イエス」の言葉をもらえなかったのですが……。

 縁談をどうにか進めようと、僕と妻、キャベツが色々と話を進めました。
 なかなか、首を縦に振ってくれないので、場を和ませようとしたのか、親父のキャベツが提案します。

「良かったら、お酒でも飲みましょう」

 すると相手のご両親もそれをのんでくれました。
 しかし、これが最悪の選択になるのです。

 ~一時間後~

 そこにはベロベロに酔っぱらったキャベツがいました。

「うぇ~ ていうかさ、あんたら。嫁ちゃんの親子関係おかしくない?」
 泥酔したキャベツはなんと、相手のご両親をディスりだしました。
「さっさと、結婚許しちまえよ。いつまで、嫁ちゃん置いときたいの? めんどくせ!」
 相手のお母さんは、ニッコリと笑っていましたが、絶対にキレていると僕はすぐに察知しました。

 何度か、僕もフォローに入りますが、キャベツの家系は、基本酒乱なので、止められません。

「幸太郎! お前もなんか言ってやれ! さっさと嫁にくれや! とかよぉ」
「いや、ちょっと、控えてよ……」
「なにを真面目ぶってんだ……そうだ、今から中洲にみんなで行こうぜ!」
 静まり返る会場。

 それを見ていてた相手のお義母さんが、僕に言いました。
「幸太郎くん。お父さん、お酒飲み過ぎたみたいねぇ……」
 僕は「あ、これ怒ってるわ」と絶望しました。
「今日はとりあえず、結婚の話は後回しにしましょう」
「す、すみません」
 心底、親父を恨みました。


「せっかくですから、お父さんにお酒を注いであげましょう。嫁! あんた、お酌してやり」
「わかった」
 相手の両親から、お酌を促された妻は、キャベツに近寄り、グラスにビールを注ごうとします。
 その瞬間でした。

「うぇ~ おっ、嫁ちゃんってけっこうおっぱいあるね。デカい?」
 隣りに座った、息子の将来のお嫁さんになってくれるかもしれない女性に対して、セクハラ発言。
 からの、妻が着ていたレースのブラウスをめくりあげます。
 ブラジャーと胸元が丸見えに……。
「いやぁ~!」
 初めて聞く妻の悲鳴でした。
 キャベツはそんなことお構いなしに、欲望のまま、自身の右手を妻の胸元へ近づけます。

 そして、すっと手が伸びたところで、僕がすかさず、チョップで叩き落としました。
(触る直前、僕の手でしっかり防ぎました)

「いってぇ! なにすんだ、幸太郎!」
「いい加減にしてよ、父さん!」
「な、なにをキレてんだよ、へへへ……」

 こうして、第一回目の話し合いは、最悪の結果に終わり、僕たちのゴールはまた半年ぐらい遅れたのでした。

 ああ、理不尽……。

 了