月乃さんが消えた。
 居心地が悪くなった学校で毎日を過ごす中、その話は僕の心を凍り付かせた。
 連絡先はすべてブロックされ、なんとか聞き出した彼女の家に行ってもそこはとっくに空き家になっていた。
 理由などわかるはずもなく、僕は心に穴が開いたような気持ちで彼女のいない高校生活を送った。

 ごめんね。勝手にいなくなって。
 そう思うのは、あの町から消えたのは半分が連れ去り、半分が私の意思だから。
 小説の聖地巡り、ちょっと度が過ぎてたみたい。
 届いてたんだ。伝わってたんだ。だから、だね。この展開。
 でも大丈夫。町のことは遠くからでも見守れるし、君のことも忘れないから。