きみと初めて出逢ったのは、遠い夏の日――。 あんなに大好きだったのに、なぜか顔も思い出せないきみ。 覚えているのは、祖母の営む骨董店の名と同じ響きだった、その儚げな名前だけ。 きみの名は、ほたる。 僕は、まぼろしの幼馴染みにもう一度逢うために、この静かな田舎の街に帰ってきたのかもしれない。