山崎明希
ソファーに寝そべり、前髪をながめていた。彼と一緒に染めた自慢のミルクティーベージュ。今頃彼も金髪の髪をながめながらテレビに注目しているのだろうか。
彼が高校卒業して金髪にするっていうから、私も染めてみたかった。一緒に写真を撮りたかった。金髪の彼とベージュの私。さすがにブリーチしてまで染める勇気はなかった。
もともと明るめだったけど、自分で決めた色にできた。
ミルクティーベージュ。
コーヒーが苦手な私に彼が初めておごってくれたミルクティー色。付き合い始めたのは1年生の夏からだけど、ずっとずっと付き合っているみたいで、ずっとずっとずっと、続いていくと思っている。
「おはよう」
彼にラインを送った。彼は4月から関東の国立大学に進学する。さすが自慢の彼氏、進学校の生徒会長。嬉しいのだけれど本当は悲しかった。
今までもちょっとした遠距離恋愛だった。彼は地元を離れ、列車で30分かけて隣町の進学校に通っていた。駅まで彼を迎えに行って毎日一緒に帰るのが私たちのデートだった。でも、これからは正真正銘、遠距離恋愛。寂しくてたまらない。本当は電話したかったけど、寝坊助な彼が寝ているところ起こしたら悪いなあと思った。
『おはよ』
間を置かずに、返信が来た。
「え、起きてる??」
『当たり前だろ、さっそく大学に行ってみるよ』
「電話したい…」
彼が出発したのは先週の金曜日。もう2日も会ってない。声も聞いていない。寂しくて仕方なかった。
『悪い。いま電車だから無理。』
「そっか…。また夜にね。」
電車で電話ができないことくらい、頭が悪い私にもわかる。でも、寝坊助な彼が、大学から徒歩2分のアパートを借りた彼が、大学に行くのに電車に乗っている。この不思議さには気づけなかった。
ラインが終わると、もう昼近くなっていた。そろそろテレビをつけて、日本の明日を見つめようかな。お湯を沸かして、髪と同じ、ミルクティーを入れよう。
「あっちっち。」
ちょっと熱く入ったみたいだ。私がハヤテを思う気持ちくらい。テヘ。
なんでもない、普通の春休みだった。
ソファーに寝そべり、前髪をながめていた。彼と一緒に染めた自慢のミルクティーベージュ。今頃彼も金髪の髪をながめながらテレビに注目しているのだろうか。
彼が高校卒業して金髪にするっていうから、私も染めてみたかった。一緒に写真を撮りたかった。金髪の彼とベージュの私。さすがにブリーチしてまで染める勇気はなかった。
もともと明るめだったけど、自分で決めた色にできた。
ミルクティーベージュ。
コーヒーが苦手な私に彼が初めておごってくれたミルクティー色。付き合い始めたのは1年生の夏からだけど、ずっとずっと付き合っているみたいで、ずっとずっとずっと、続いていくと思っている。
「おはよう」
彼にラインを送った。彼は4月から関東の国立大学に進学する。さすが自慢の彼氏、進学校の生徒会長。嬉しいのだけれど本当は悲しかった。
今までもちょっとした遠距離恋愛だった。彼は地元を離れ、列車で30分かけて隣町の進学校に通っていた。駅まで彼を迎えに行って毎日一緒に帰るのが私たちのデートだった。でも、これからは正真正銘、遠距離恋愛。寂しくてたまらない。本当は電話したかったけど、寝坊助な彼が寝ているところ起こしたら悪いなあと思った。
『おはよ』
間を置かずに、返信が来た。
「え、起きてる??」
『当たり前だろ、さっそく大学に行ってみるよ』
「電話したい…」
彼が出発したのは先週の金曜日。もう2日も会ってない。声も聞いていない。寂しくて仕方なかった。
『悪い。いま電車だから無理。』
「そっか…。また夜にね。」
電車で電話ができないことくらい、頭が悪い私にもわかる。でも、寝坊助な彼が、大学から徒歩2分のアパートを借りた彼が、大学に行くのに電車に乗っている。この不思議さには気づけなかった。
ラインが終わると、もう昼近くなっていた。そろそろテレビをつけて、日本の明日を見つめようかな。お湯を沸かして、髪と同じ、ミルクティーを入れよう。
「あっちっち。」
ちょっと熱く入ったみたいだ。私がハヤテを思う気持ちくらい。テヘ。
なんでもない、普通の春休みだった。