(秋華side)

「そうなんだ」

私はこの子について考えを巡らせてみた。
いつも一人でいて、あまりお見舞いに来る人も見ていない気がする。
それでも、素敵なお友達がいることだろう。

羨ましいなって素直に思えるんだ。

ふと、私のことはどうだったか思い出してみた。
自分の口走った一言が胸の中を駆け巡る。
残響のように響くのは、とても馬鹿な一言。
あの出来事を反省したから、自分は看護師になったんだ。

この子には、自分たちみたいにはなってほしくない。

一時のにわか雨だろうか、私たちの身体を湿らしていく。
それでも私は構わず、春の女の子の方に腕を伸ばした。

彼女がこちらを向いて、首をかしげた。
私は一言ずつ、諭すようにはっきりと告げる。

「駄目だよ、そんな関係は。……ちゃんと向き合おう」

女同士の硬い握手をした。

 ・・・