全授業が終わり、わたしは教科書などの荷物を鞄に入れる。
今日は何回くらい『変』と言われたかと振り返ってみているとナリが後ろを向いてきた。
「ねぇ。忘れてないよね!」
「何のこと?」
「酷い! 本当は覚えているくせに! 公園だよ。こ、う、え、ん! 遊ぶ約束だったでしょ?」
荷物を鞄に入れ終え、閉めるとわたしは立ち上がった。
「わかってる。行くならはやく。伯祖父のこともやらないといけないし」
嬉しそうに返事したナリは急いで鞄に荷物を入れてわたしの手を取り、教室を出た。
「どこの公園にする? 早めに帰るなら学校から近い方がいいかな?」
わたしが任せると言うとナリは右手で親指を立てた。
この反応からすると近い公園かな。
昇降口で靴を履き終え、急いで公園へ向かう。途中、コンビニもあったがお構いなしに公園へ直行した。
「着いたー!」
芝生の絨毯の敷かれたこの公園ではもうすでに多くの子供達が遊具やボールを使って遊んでいる。
特に何で遊ぶとか考えていなかったので、公園の入ってすぐにある水色のベンチに座った。
「遊具子供達に取られちゃったね」
「良いんじゃないの? わたしたちはこうして静かに座っている良さがわかるんだから」
「えぇ〜。なんかサクラがおばあちゃんみたいなこと言ってる〜。まぁでもこう見てる側っていうのもたまには良いかもね」
しばらく二人で喋らずにボーッとしていると、子供達の親らしき人が公園に入って来て、わたしの横を通る際に一言、『変』だと言って通り過ぎた。
「ねぇ、ナリ」
「うん? どうしたの?」
「わたしの変とナリの変って何が違うんだろうね」
唐突に思ったその疑問にナリは悩んだ。悩んだ末に出たのは「分からない」だった。
「そうだよね。変なこと訊いたね。ごめん、忘れて」
特にナリは返事もせずにぼーっと遊ぶ子供達をまた眺めていた。
さっきの親が一人の子供に話しかけてその小さな手をひいてうちに帰ろうとしている。子供は一緒に遊んでいた子に手を振って公園を出て行く。それを見送ると他の子供達は今度は鬼ごっこをして遊び始めた。
ふと視線を感じ、ナリの方へ視線を送るとナリは膝に頬杖をついて覗くようにこちらを見ていた。その目は稀に見るわたしの目の奥まで見透かすような目だった。
「え、どうしたの? ナリ」
「ずっとさっきの質問のこと。サクラを見ながら考えていたんだけどさ」
「あれは忘れてって――」
「そもそもわたしたちって違うじゃん。外見からなにまで。だから今更だけど自分でもサクラの何が『変』だから変って言っているのか分からなくなっちゃったんだよねぇ」
「つまりどうゆうこと?」
「うーん。つまり……サクラは変だけど『変』じゃないってこと?」
「あんまり要約されていない気もするけど。なんとなくナリの言いたいことは伝わってきた気がしなくもない……かもしれない」
「もしかしてバカにされてる?」
「いや、バカにしてないよ。ありがとう、ナリ」
「こんなことでサクラに褒められるなんて願ったり叶ったりだよ」
わたしの何が『変』なのか。『変』と言った相手にわからないと言われて、さらに分からなくなってしまったけど、わたしの本質的なところにそれはあるのかもしれない。
そうこうしているうちに公園に設置されているチャイムが鳴った。
「じゃあチャイムも鳴ったしわたしは帰るよ。また明日ね、ナリ」
「うん、じゃっまた明日!」
ナリに手を振り公園を後にした。
今日は何回くらい『変』と言われたかと振り返ってみているとナリが後ろを向いてきた。
「ねぇ。忘れてないよね!」
「何のこと?」
「酷い! 本当は覚えているくせに! 公園だよ。こ、う、え、ん! 遊ぶ約束だったでしょ?」
荷物を鞄に入れ終え、閉めるとわたしは立ち上がった。
「わかってる。行くならはやく。伯祖父のこともやらないといけないし」
嬉しそうに返事したナリは急いで鞄に荷物を入れてわたしの手を取り、教室を出た。
「どこの公園にする? 早めに帰るなら学校から近い方がいいかな?」
わたしが任せると言うとナリは右手で親指を立てた。
この反応からすると近い公園かな。
昇降口で靴を履き終え、急いで公園へ向かう。途中、コンビニもあったがお構いなしに公園へ直行した。
「着いたー!」
芝生の絨毯の敷かれたこの公園ではもうすでに多くの子供達が遊具やボールを使って遊んでいる。
特に何で遊ぶとか考えていなかったので、公園の入ってすぐにある水色のベンチに座った。
「遊具子供達に取られちゃったね」
「良いんじゃないの? わたしたちはこうして静かに座っている良さがわかるんだから」
「えぇ〜。なんかサクラがおばあちゃんみたいなこと言ってる〜。まぁでもこう見てる側っていうのもたまには良いかもね」
しばらく二人で喋らずにボーッとしていると、子供達の親らしき人が公園に入って来て、わたしの横を通る際に一言、『変』だと言って通り過ぎた。
「ねぇ、ナリ」
「うん? どうしたの?」
「わたしの変とナリの変って何が違うんだろうね」
唐突に思ったその疑問にナリは悩んだ。悩んだ末に出たのは「分からない」だった。
「そうだよね。変なこと訊いたね。ごめん、忘れて」
特にナリは返事もせずにぼーっと遊ぶ子供達をまた眺めていた。
さっきの親が一人の子供に話しかけてその小さな手をひいてうちに帰ろうとしている。子供は一緒に遊んでいた子に手を振って公園を出て行く。それを見送ると他の子供達は今度は鬼ごっこをして遊び始めた。
ふと視線を感じ、ナリの方へ視線を送るとナリは膝に頬杖をついて覗くようにこちらを見ていた。その目は稀に見るわたしの目の奥まで見透かすような目だった。
「え、どうしたの? ナリ」
「ずっとさっきの質問のこと。サクラを見ながら考えていたんだけどさ」
「あれは忘れてって――」
「そもそもわたしたちって違うじゃん。外見からなにまで。だから今更だけど自分でもサクラの何が『変』だから変って言っているのか分からなくなっちゃったんだよねぇ」
「つまりどうゆうこと?」
「うーん。つまり……サクラは変だけど『変』じゃないってこと?」
「あんまり要約されていない気もするけど。なんとなくナリの言いたいことは伝わってきた気がしなくもない……かもしれない」
「もしかしてバカにされてる?」
「いや、バカにしてないよ。ありがとう、ナリ」
「こんなことでサクラに褒められるなんて願ったり叶ったりだよ」
わたしの何が『変』なのか。『変』と言った相手にわからないと言われて、さらに分からなくなってしまったけど、わたしの本質的なところにそれはあるのかもしれない。
そうこうしているうちに公園に設置されているチャイムが鳴った。
「じゃあチャイムも鳴ったしわたしは帰るよ。また明日ね、ナリ」
「うん、じゃっまた明日!」
ナリに手を振り公園を後にした。