鼓動の速度があがるのがわかる。
それって、それって――。
「覚えてる? 月穂ちゃんがうちに遊びに来たとき、てるてるぼうずを作ったことがあったでしょう?」
「そんな!?」
思わず大きな声を出した私に、店内の客が驚いた顔を向けた。
でも、それどころじゃない。
こんなことがあるの……?
おばさんは大声に驚きぽかんとしている。
「すみません。その話……詳しく聞かせてください」
「え、ただの夢の話よ?」
「それでも聞きたいんです。それって、二年前の七夕の日の夢ですよね?」
私の質問に気圧されるように、おばさんはカクカクとうなずいた。
「ちょっとあの時とは状況が違ったんだけどね。ほら、ふたりして家に来たじゃない? でも夢のなかでは、星弥だけが買い物に行ってて不在だったのよ」
心臓の音がすぐ近くで聞こえているみたい。
こんなことってあるの?
「夢のなかでね、私は月穂ちゃんといろんなお話をしたの。星弥の好きな食べ物とかの話」
やっぱりそうだ。おばさんもあの夢を……同じように見ていたんだ。
質問したいことはたくさんある。
でも、今は黙っておばさんの話を聞かなくちゃ。
「夢のなかなのに、私は『これは夢』だってわかってた。だけど、体が動いてくれないの。口が勝手にあの日と同じことをしゃべってる感じだった。戻って来た星弥が月穂ちゃんと二階へ行ったでしょう。星弥を抱きしめたかったけれど、やっぱり体は動かなくてね……」
そこでおばさんは口を閉じたかと思うと、苦し気な表情になった。
おばさんはアイスコーヒーを飲んでから、「ふう」とため息を声にした。
「私が月穂ちゃんに話したい、と思ったのは、そのあとに起きたことでね」
ズンとお腹に重い衝撃が走るのを感じた。
私は知ってる、おばさんが言いたいことを。
「しばらくひとりでいるうちに、思ったの。これはやっぱり夢だって。だとしたら、うれしいけどこのあと絶対に悲しくなる。早く目を覚まさないと、って」
ああ、やっぱりそうなんだ……。
覚悟を決めるように、私は背筋を伸ばした。
「その時に二階から私が下りてきたんですね? 実際は星弥に見送られて帰るはずなのに、ひとりで階段を駆け下りてきた」
それって、それって――。
「覚えてる? 月穂ちゃんがうちに遊びに来たとき、てるてるぼうずを作ったことがあったでしょう?」
「そんな!?」
思わず大きな声を出した私に、店内の客が驚いた顔を向けた。
でも、それどころじゃない。
こんなことがあるの……?
おばさんは大声に驚きぽかんとしている。
「すみません。その話……詳しく聞かせてください」
「え、ただの夢の話よ?」
「それでも聞きたいんです。それって、二年前の七夕の日の夢ですよね?」
私の質問に気圧されるように、おばさんはカクカクとうなずいた。
「ちょっとあの時とは状況が違ったんだけどね。ほら、ふたりして家に来たじゃない? でも夢のなかでは、星弥だけが買い物に行ってて不在だったのよ」
心臓の音がすぐ近くで聞こえているみたい。
こんなことってあるの?
「夢のなかでね、私は月穂ちゃんといろんなお話をしたの。星弥の好きな食べ物とかの話」
やっぱりそうだ。おばさんもあの夢を……同じように見ていたんだ。
質問したいことはたくさんある。
でも、今は黙っておばさんの話を聞かなくちゃ。
「夢のなかなのに、私は『これは夢』だってわかってた。だけど、体が動いてくれないの。口が勝手にあの日と同じことをしゃべってる感じだった。戻って来た星弥が月穂ちゃんと二階へ行ったでしょう。星弥を抱きしめたかったけれど、やっぱり体は動かなくてね……」
そこでおばさんは口を閉じたかと思うと、苦し気な表情になった。
おばさんはアイスコーヒーを飲んでから、「ふう」とため息を声にした。
「私が月穂ちゃんに話したい、と思ったのは、そのあとに起きたことでね」
ズンとお腹に重い衝撃が走るのを感じた。
私は知ってる、おばさんが言いたいことを。
「しばらくひとりでいるうちに、思ったの。これはやっぱり夢だって。だとしたら、うれしいけどこのあと絶対に悲しくなる。早く目を覚まさないと、って」
ああ、やっぱりそうなんだ……。
覚悟を決めるように、私は背筋を伸ばした。
「その時に二階から私が下りてきたんですね? 実際は星弥に見送られて帰るはずなのに、ひとりで階段を駆け下りてきた」