急に泣き出した私に、星弥は心配そうに首をかしげた。

「どうしたの? 『月読み』で、そういう占い結果が出たわけ?」
「違う。でも、お願いだから……」
「夢を見たとか?」

 言葉にできずに首を横に振った。
 ここが夢の世界だと伝えたら、すべて終わってしまいそうで怖かった。

 気づくと星弥が隣にいる。
 涙が止まらない私をギュッと抱きしめてくれた。
 体温も呼吸もにおいもリアルに感じられる。

 生きているうちにもっと彼を感じたかった。

 でも、前はこんな展開にはならなかったはず。
 だとしたら。この夢にはやっぱり意味があるんだ。
 夢のなかでは未来を変えられる!

 ……泣いている場合じゃない。

 急に立ちあがった私に、星弥は今度こそ目を丸くして驚いている。

 そうだよ、この夢の世界で私にはやるべきことがある。

 ――星弥を助けるんだ。