楽しそうに笑う部員の声にまたため息がこぼれた。
 同時に、過去の思い出たちが頭のなかで上映会を始める。

 ――夏服、梅雨、折りたたみカサ、バス。

 ひとりで部屋にいるときは頭に浮かばないのに、どうして?
 今でも色あせない、決して色あせたくない記憶を何度もくり返してしまう。
 人が苦手になってから、どれくらいの時間が過ぎたのだろう?
 昔は誰かとしゃべることが好きだったのにな……。
 それこそ、『口から生まれて来た』とからかれることもあるくらい、いつも誰かと話をしていた。
 みんなの笑っている顔がうれしくて楽しくて、毎日はキラキラと輝いていた。

 ……今では話すことが怖い。

 注目されることも見られることも、心配されることすらも怯えている。
 それを見せないようにするために明るくふるまって、あとでぐったりと疲れている。

 だったらムリして演じなければいい。
 わかっている……わかっているのに止める方法が自分でもわからない。