こうやって星弥に星の話を聞くのが楽しみだった。
 黒板はあっという間に星空に変わり、夜の空を想像させた。
 晴れた日には、彼の部活が終わるのを待って、星を見ることもあったよね。

 これまで月にしか興味なかった私に、星弥は新しい世界を教えてくれた。

「来年は、一緒に春の大三角形を見よう。」

 星弥の約束がうれしくて、大きくうなずく。

「星弥の『星占い』、またしてほしいな」

 そう言う私に、星弥は黒板を消しながら「ブブー」と言った。

「『星占い』じゃなくて『星読み』だって」
「あ、そうだった」
「それに俺のはオリジナルだから」
「自分で作ったにしては、すごく当たってると思うけど」

 たまに私の星座であるおひつじ座を元にして彼は占いをしてくれた。

『今日は穏やかな気持ちでいればすべてうまくいくでしょう』
『友達に感謝の気持ちを伝えましょう』
『好きな人と図書館に行くとよいでしょう』

 たまに親とケンカしたことを話すと『自分から謝るのがよいでしょう』なんて言われたこともある。

「じゃあさ」と星弥が私の机に腰をおろした。
 見おろす目がやさしい。