クラスメイトは前のほうの席にいるみたい。確認するとふたりしてスマホとにらめっこしているうしろ姿が見える。
ホッとして窓越しの四角く切り取られた空を見あげた。
薄い月が窓枠のはしっこにぶらさがるように浮かんでいる。
六月十三日の今日は、満月にいちばん近い十三番目の月。
毎朝、月を確認しているのなんて、私だけなんだろうな。
中腹で停車したバスをおり、生徒の集団からわざと遅れて歩いた。
傾斜のきつい坂道の先に、高校の門が見えてくる。
ふり返ると木々や森、田んぼの緑色が広がっている。
上空に厚い雲が覆いかぶさっているせいだろう、いつもよりくすんで見えた。
このあと雨が降り出すのかもしれない。
今から教室に行ってしまうと、そのぶんもうひとりの私を長時間演じなくてはいけない。
「まだ早いよね……」
人の流れから抜け、校庭の奥へ向かうことにした。
ベンチに座りリュックを背からおろし隣へ置くと、背中が汗ばんでいた。
斜め前にテニスコートがある。
朝練をしているのだろう、ボールを打つ音や部員の掛け声が耳に届く。
紺色のジャージ姿がちらほら見えている。
ホッとして窓越しの四角く切り取られた空を見あげた。
薄い月が窓枠のはしっこにぶらさがるように浮かんでいる。
六月十三日の今日は、満月にいちばん近い十三番目の月。
毎朝、月を確認しているのなんて、私だけなんだろうな。
中腹で停車したバスをおり、生徒の集団からわざと遅れて歩いた。
傾斜のきつい坂道の先に、高校の門が見えてくる。
ふり返ると木々や森、田んぼの緑色が広がっている。
上空に厚い雲が覆いかぶさっているせいだろう、いつもよりくすんで見えた。
このあと雨が降り出すのかもしれない。
今から教室に行ってしまうと、そのぶんもうひとりの私を長時間演じなくてはいけない。
「まだ早いよね……」
人の流れから抜け、校庭の奥へ向かうことにした。
ベンチに座りリュックを背からおろし隣へ置くと、背中が汗ばんでいた。
斜め前にテニスコートがある。
朝練をしているのだろう、ボールを打つ音や部員の掛け声が耳に届く。
紺色のジャージ姿がちらほら見えている。