私はいつも星座の図が大きく書いてあるページばかり見ていた。
 そんな私に、星弥はいろんな星の話をしてくれた。

 やっぱりまだ思い出話をするには傷が痛い。
 痛くてたまらない。
 星弥の名前が出ないうちに帰りたい。

「バスが来るので、今日は帰ります」

 あとずさりをしていることに気づき、ギュッと踏ん張った。

「いつでもお待ちしております」

 にこやかに樹さんが言ってくれたからホッとする。
 ドアの前でふり向き、見送りに来てくれた樹さんに勇気を振り絞った。

「流星群は……奇跡を運んでくるんですか?」

 あの日、星弥は私にそう言った。
 悲しみのなかずっと忘れていたけれど、今はそれが希望の星のように思えている。
 人差し指を口元に当てると樹さんは言った。

「信じる人にだけしか奇跡は訪れません」

 と。

 私には『まだ無理』と言われているようで、悲しくなった。