なにを見ても聞いても、心は動かない。
 うまく一日をやり過ごすだけの日々。

「でも……」

 さっきの夢のなかでは、生々しい世界を感じることができた。
 夢だとわかっていても、普通は好き勝手に行動はできない。
 できるとしても無理やり夢を終わらせて起きることくらいなのに。

 ひょっとしたら、あの夢のなかで星弥の死を止めることができれば……。

 そこまで考えて、ようやく我に返った。

 夢を変えれば現実も変わる?
 そんなことありえないし。
 少し冷静になった頭で、壁のカレンダーを見る。

 星弥は、去年の七夕の日に私を置いていなくなってしまった。
 もうすぐ、あれから一年が経とうとしている。

 きっと私の心も、一緒に死んじゃったんだね。