見開いたページには丸い円形のなかに星座が描かれていた。
 夜空に色とりどりの星座が光っている。
 星には詳しくない私にはあまり違いがわからない。

「二年後の七夕のあたりにさ――」

 やさしい声で星弥が言った。

「流星群がこの町にやってくる。といっても流星群は毎月のようにいろんな場所で観測されているけれど、これは桁が違う。いわば、大流星群ってレベル」
「流星群?」

 尋ねる私に彼はやさしくうなずいてから、斜め上あたりに目をやった。

「彗星が放つチリの粒がまとめて大気に飛び込んでくるんだ。チリが大気にぶつかると高温になって、光を放ちながら気化する。その光の束を流星群って呼ぶんだよ」

 彼は人差し指で弧を描く。
 天井の照明がまるで星のように見えた。

「地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年決まっているんだけど、二年後にかなり近くで見られるんだ」

 星弥の説明は難しくてよくわからなかったけれど、うれしそうに話す姿に私までうれしくなる。

「楽しみだね」

 あの日と同じ言葉を伝えると、彼は体ごと私に向いて大きくうなずいた。

「流星群と言っても、実際は流れ星みたいなのがちらほら見える程度なんだけど、この本によると、このあたりだけは違うんだって。空から月が消え、星が降り注ぐようにまぶしくてキレイなんだって。天文台に行けば、きっときれいに見られると思う」

 星弥が言うならぜんぶ本当のことのような気がした。