「すごく光っていてキレイだなあ」

 目を細めて私を見つめる星弥に、息が苦しくなる。
 ごまかすように私は言ったんだ。

「星弥の顔は体調不良っぽく見える」

 そう言ったあと、「あ!」と大声で叫んでいた。

「図書館ではお静かに」

 人差し指を口に当てた星弥に、ハッと口を閉じた。
 これは過去にはなかったシーン。
 今……自分の反応が言葉になって出ていた。

「あのね、星弥……」

 間違いない。過去の出来事を辿るだけじゃなく、思ったことを口にできるタイミングもあるんだ。

 ――星弥は病気が進行し、亡くなった。

 初めてふたりで図書館に来た日、私たちはまだそのことを知らなかった。
 知らずに笑い合っていたんだ。

 今、私が星弥に病気のことを伝えたとしたら……? 
 せめて、夢のなかの星弥を失わずに済むかもしれない。
 星弥とやり遂げられなかったいろんなことができるのかもしれない。

 そう考えると、さっき手をつないだことも同じだ。
 この夢が、私の後悔を消すためのものだとしたら……。

「あの……ね、星弥。体調が……」

 さっきより言葉がうまく出てこない。
 それでもなんとか伝えなくちゃ。