なかに入ってさらに驚く。昼間というのに薄暗いのだ。
照明はオレンジ色のものがいくつか点在している程度で、とても本を読む環境に適しているとは言えない。
狭い空間に棚が並んでいて、奥に見える階段の上には読書スペースが広がっているのが見えた。
また、夢であることを忘れかけていた。
あまりの懐かしさに、まるで当時の自分と同化してしまっている。
でも、この夢の世界にまだいたい。
そばにいることが当たり前だったから、いなくなるなんて想像もしていなかった。
もっと、彼との一瞬一瞬をかみしめればよかった。
星弥は器用に棚の間をすり抜けると、誰かに「こんにちは」と声をかけた。
いちばん奥の棚に背の高い男性が立っていた。
肩下までの髪をひとつに結び、こげ茶色のスーツを着ている男性が、星弥を認めて柔和にほほ笑む。
「こんにちは。ひょっとして学校をさぼったのですか?」
「やめてくださいよ。今日は始業式です」
「なるほど」とうなずいた男性が私に気づき目を細めた。
「いらっしゃい」
まるでホストみたい。というのが第一印象だった。
頭を軽く下げた男性の髪が、薄暗い照明のなかキラキラ光っている。
年齢は、まだ二十代だろうか。
「あ……お邪魔します。白山です」
ぺこりと頭を下げた。
照明はオレンジ色のものがいくつか点在している程度で、とても本を読む環境に適しているとは言えない。
狭い空間に棚が並んでいて、奥に見える階段の上には読書スペースが広がっているのが見えた。
また、夢であることを忘れかけていた。
あまりの懐かしさに、まるで当時の自分と同化してしまっている。
でも、この夢の世界にまだいたい。
そばにいることが当たり前だったから、いなくなるなんて想像もしていなかった。
もっと、彼との一瞬一瞬をかみしめればよかった。
星弥は器用に棚の間をすり抜けると、誰かに「こんにちは」と声をかけた。
いちばん奥の棚に背の高い男性が立っていた。
肩下までの髪をひとつに結び、こげ茶色のスーツを着ている男性が、星弥を認めて柔和にほほ笑む。
「こんにちは。ひょっとして学校をさぼったのですか?」
「やめてくださいよ。今日は始業式です」
「なるほど」とうなずいた男性が私に気づき目を細めた。
「いらっしゃい」
まるでホストみたい。というのが第一印象だった。
頭を軽く下げた男性の髪が、薄暗い照明のなかキラキラ光っている。
年齢は、まだ二十代だろうか。
「あ……お邪魔します。白山です」
ぺこりと頭を下げた。