「すごく空翔らしいね」
「月穂って、空翔とは長いんだろ?」
「やめてよ。ただクラスが一緒なだけ。あいつ、ちょっとデリカシーないんだよね」
「じゃあ俺はデリカシーあるように見える?」

 そんなことを尋ねる星弥に、
「どうだろう、ね」
 と、視線を逸らした。

 胸が苦しくなる。
 それにしてもやけにリアルな夢だ。
 駅前の風景も、バスに乗りこんだ感触もリアルそのもの。

 これまで、星弥の夢は見ないようにしてきた。
 でも、こういう過去の再現みたいな夢は別なのかも。
 だって、この頃はまだ幸せだったから。

「二年後にこの町に星がふるんでしょう? 星がふるってどういうこと?」

 バスはどんどん山奥へ進んでいる。
 今日は彼が私に出した長いクイズの答えを教えてくれる日だ。

「けっこうヒント出したつもりだけど、まだわからないかー」

 クスクス笑う星弥。
 隣に座っているから、体の一部が当たっている。
 制服のシャツ越しの体温を感じる。

 夢のなかで星弥が生きているのなら、私もずっとここにいたいよ。