星弥の唇が動き、言葉になる。

「三年後の夏、この町に星がふるんだよ」
「それって――」

 と尋ねた瞬間、ぐにゃりと周りの景色がゆがんだ。
 これは……夢が終わってしまうの?
 星弥の夢を見るのはつらいはずなのに、私たちのはじまりのシーンがあまりにも愛おしくてもっと見ていたかった。

 今日だけはこのまま、夢の世界にいさせて。

 必死で願っても世界はどろりと景色を変えていく。
 やがて真っ暗になったあと、足裏に土の感触が生まれた。

「あ……」

 気づけば私は校門に立っていた。
 まだ夢の世界にいることはすぐにわかった。
 この夢は……さっきの続き?
 青空が上空に広がっている。
 上限の月が薄く空に浮かんでいる。

「お待たせ」

 星弥が駆けてくる。
 さっきより背が伸びている。
 これは……中学三年生の春だ。
 一瞬で一年が経過したなんて、まるで昔話の浦島太郎みたい。