真面目な顔の男性アナウンサーが『くり返します』と私を見た。

『やぎ座流星群が七月七日の夜、日本でも見られることは以前からお伝えしていますが、長野県は他県に比べ観察環境が良いことがわかりました。通常よりもかなり近い距離で、大流星群と呼ぶべき量の流星が見られる可能性が高いそうです』

 ――そこから先は、あまり覚えていない。

 気づけば部屋にいた。
 真っ暗な部屋の真ん中でベッドにもたれて膝を抱えていた。
 まだ、胸がしくしくと痛い。

「流星群……」

 記憶の底に押しこめていた言葉をふいに聞いたせいだろう。
 星弥との数ある思い出のなかにおいても、流星群には特別の思いがある。
 今年の夏、一緒に流星群を見ようと約束をした。
 それは、永遠に果たされることのない約束。

 一年前に私の恋は終わった。
 それは、星弥が亡くなってしまったから。

 彼の死を受け入れるには、あとどれくらいの時間が必要なのだろう。
 その日まで早送りできればいいのに……。