君のいない世界に、あの日の流星が降る

「うん。そうだってね」

 翌日の新聞にも、わずかばかりの流星群の写真が掲載されていた程度だった。

「でも、月穂は見られたんだよね?」
「見た。すごくきれいで悲しくて、でもうれしかった」

 目を閉じれば、いつでもあの光を思い出せる。
 あの夜、私のために、星弥のために、流星群は奇跡を起こしてくれたこと、忘れないよ。

「あたし信じるよ」
「うん」
「じゃああたしのも占ってくれる?」
「よろこんで」

 深川さんの『月読み』をする。
 真面目だけど、言葉のチョイスが間違えがちな星の元に生まれている彼女。
 やっぱり当たってるんだな……。
 気づくと深川さんのうしろに列ができていたので驚いてしまう。

 月を読むことは、星弥を知ること。
 長い人生を星弥はいつでも見守ってくれているんだよね。

 おばさんが最後の挨拶をすれば、拍手とともに会は終わりを迎えた。
 みんなを見送ってから、残った洗い物を片づけたりゴミを拾った。

「よし、終わり。月穂、帰ろうか」

 ゴミ袋を玄関先に置いた麻衣にうなずく。

「じゃあ空翔とここで待ってて。おばさんに挨拶してくる」

 おばさんを探しに二階へ向かう。
 星弥の部屋の中におばさんは立っていた。
 部屋はあの頃となにも変わっていない。
 ついこの間、ここでてるてるぼうずを作ったんだよね。
 ああ、あれは夢か……。

 時間が経てば、あの夢も現実と溶け合っていくみたいにどちらがどちらかわからなくなっている。
 それでいい、と思う。
 だってあの夢は実際に私たちが経験したことなのだから。

 おばさんは私に気づくと、目じりのシワを深くして笑った。

「今日はありがとう。星弥に今、報告していたのよ」
「こちらこそありがとうございました」

 頭を下げてから「また来ます」とつけ加えた。

 ほころんだ笑顔のおばさんが手招きをしたので近づく。
 誰もいないのになぜかおばさんは私の耳に口元を寄せた。