一周忌はにぎやかに終わりを告げようとしている。

 おばさん手作りの唐揚げやハンバーグはとっくに男子を中心としたメンバーに完食され、今は松本さんのお兄さんが買ってきたお菓子の争奪戦がくり広げられている。
 中学の同窓会みたいなメンバーのなかに、私の人生の新しい登場人物が混じっている感じ。

「月穂」

 久しぶりに会った希実は、前以上にキレイになっていた。
 短かった髪をロングに伸ばし、黒いワンピース姿が年上っぽく見えた。

「今日は呼んでくれてありがとね」
「ううん。あ、友達紹介するね」

 麻衣の姿を探すと、空翔とふたりで洗い物をしているところだった。

「麻衣ちゃんでしょ。さっき会ったよ。すごくいい子だね」
「うん。希実はどう?」
「あいかわらず。今日はこんな恰好してるけど、普段は部活ざんまいで青春の『せ』の字もないよ」

 カラカラ笑ったあと、希実は「でさ」と顔を近づけてきた。

「例のアレ、持ってきてくれた?」

 昨日の夜も散々ラインで言われてから忘れるわけがない。
 バッグから『月読みノート』を取り出すと、希実が歓声をあげた。

「懐かしい。もうさ、ずっとやってもらいたかったんだよぉ」

 歓声に気づいた深川さんが「どいてよ」とふざけてる男子をかきわけてきた。
「どうも」「どうも」とふたりは挨拶をしている。
 もう一度『月読み』ができる日が来るなんて思わなかった。
 星弥が残してくれたものを、これからも大切にしていくよ。
 ノートをめくると彼の文字が並んでいる。
 私が大好きだった人。世界でいちばん大好きだった人。

「希実はね、八月前半が行動するのに最適みたい」
「マジで!? いよいよ私にも幸せがくるかも。ううん、くる。絶対にくる!」

 ガッツポーズをする希実に深川さんが拍手を贈った。

「そういえばさ」と、深川さんが私を見た。
「あの日、天文台ではあんまり流星群が見られなかったんでしょう?」