「空翔はさ、星弥に会えているの?」

 私の質問に空翔はぶうと頬を膨らました。

「部屋の前までは行ったけど、入れてくれない。なかからカギかけてんだぜ。あいつ、マジむかつくんだよな。そっちは?」
「私は建物の前まで。最近じゃ、建物の屋根を見て帰ったりしてる」

 会いたくて会いたくて、だけど星弥を困らせたくなくて。
 この日の夢を見ているのは、その後悔をなくすためかもしれない。

 星弥は七月七日の早朝に亡くなった。
 私が駆けつけた時にはもう、死亡診断書がおりていた。

「今日は絶対に会うから」

 決意を込めて言う私に、空翔は「おっかね」と笑った。