――どれくらい泣いただろう。

 ようやく落ち着いてご飯を食べはじめた。
 なにを食べても涙味で、だけど美味しかった。

「月穂は強くなったのね」

 お母さんの声に顔をあげた。
 不思議と、少し気持ちがラクになっている。

「強くないよ。泣いてばっかりだし」

「あら」とお母さんは目じりを下げた。

「だって、お母さんたちに本当の気持ちを話してくれたじゃない」

 お父さんも両腕を組んで大きくうなずいている。

「学校なんていくらでも休め。月穂が思ったようにやればいいんだから」
「ほらね。保護者のお墨つきなんだから、堂々と休めばいいのよ」

 自慢げに胸を張るお母さんに少し笑ってしまう。

「普通、親がそんなこと言う?」
「うちは自由を愛する家族なのよ。さ、どんどん食べて。あ、お父さん」

 お母さんが、お父さんが再度手にしたソースの便を奪い取った。

「ちゃんとチェックしてるのよ。かけすぎ注意!」
「バレてたか」

 悔し気なお父さんに今度こそ笑ってしまった。

 ふたりの子供でよかったと思えたんだ。