「んだよ」は、日比谷空翔の昔からの口ぐせだ。
昼休みになると同時に私の席に来た空翔は、開口一番そう言った。
湿度のせいでパーマっぽくなる髪を触るのもくせのひとつ。
背はそんなに高くないけれど、テニス部で鍛えられた体はスリムながら筋肉が制服越しでもわかる。
童顔で人懐っこい笑顔の空翔はクラスでもムードメイカー的存在だ。
こういうところ、昔から変わっていない。
まだ初夏だというのに、すっから体ははちみつ色に焼けている。
中学生のときから一度もクラスが別れたことがないからよく知る間柄だ。
「いきなりなによ」
弁当箱を広げる私の隣で、麻衣が口をぽかんと開けたままフリーズしているのが見えた。
「いや、休んでたわりに元気そうだなって」
「元気になったから来たの」
「そうだけど……大丈夫か?」
またこの顔だ。
私と話をする人は、曇った表情をすることが多い。
悲しみにふさぎこんでいても、元気そうにふるまっても、結局は同じこと。
昼休みになると同時に私の席に来た空翔は、開口一番そう言った。
湿度のせいでパーマっぽくなる髪を触るのもくせのひとつ。
背はそんなに高くないけれど、テニス部で鍛えられた体はスリムながら筋肉が制服越しでもわかる。
童顔で人懐っこい笑顔の空翔はクラスでもムードメイカー的存在だ。
こういうところ、昔から変わっていない。
まだ初夏だというのに、すっから体ははちみつ色に焼けている。
中学生のときから一度もクラスが別れたことがないからよく知る間柄だ。
「いきなりなによ」
弁当箱を広げる私の隣で、麻衣が口をぽかんと開けたままフリーズしているのが見えた。
「いや、休んでたわりに元気そうだなって」
「元気になったから来たの」
「そうだけど……大丈夫か?」
またこの顔だ。
私と話をする人は、曇った表情をすることが多い。
悲しみにふさぎこんでいても、元気そうにふるまっても、結局は同じこと。