しばらく行けなかったけれど、年始に決心して、おばさんに連れて行ってほしいとお願いした。
 彼はなにも言わなかったけれど、拒否もしなかった。

 星弥の気持ち、わかるよ。

 だけど、だけど……。

「バカ」

 こぼれた言葉に、星弥はギョッとした顔になった。
 でも、私がいちばん驚いている。私、今……怒ってるんだ。

「星弥のバカ。星弥の具合が悪くなってから、私ずっとひとりでてるてるぼうず作ってるんだよ。星弥が奇跡の話をしたからじゃない。七百個作れって言ったじゃない。なのに、ひとりであきらめるなんてバカだよ。別れた、ってなによ。そんなの星弥の一方的な意見じゃない!」

 どんな運命が待っていても負けない。
 星弥を助けられるその日まで絶対に戦うんだ。

「星弥も流星群の奇跡を信じてよ。ふたりでがんばろうよ」

 気圧されたように星弥は目をぱちぱちとしてから、ゆっくり両手をあげた。

「降参します。てか、月穂ってすごいな……」
「すごくない。ただ、夢の世界を信じたいの。意味があるって思いたいの」

 言ってから気づく。
 星弥には意味がわからないことだって。
 もう一度空を見てから星弥は言った。

「今日はさ、検査がないんだ」
「……え?」
「さっき、なんでもやるって言ったよね? 俺、行きたい場所があるんだ」

 思い出した。
 私が泣いて帰った日、星弥は空翔とどこかへ出かけたんだ。
 途中で具合が悪くなった、ってあとから空翔に聞かされたっけ……。

「どこへ……?」

 不安な気持ちで尋ねる私に、星弥はいたずらっぽく笑った。