私が悩んでいると思ったのか、空翔は「なあ」とさっきよりトーンをやわらかくした。
「星弥のこと、もっと信用してやれよ」
「え?」
「好きな人に悲しい思いをさせたりしないし」
そこまで聞いて、やっと空翔が言わんとしていることがわかった。
私が星弥の浮気を疑っていると勘違いしているんだ。
「疑ってなんかないもん」
「そういうことじゃなくてさ……。ま、いいや」
「私、行くね。練習がんばって」
「お前はがんばりすぎんなよ」
空翔の声を背に走り出す。
校門を出たところで星弥に電話をかけるが、やっぱりつながらない。
ラインを送っても既読にならない。
焦る気持ちが再度体を熱くする。
額から流れた汗をぬぐい歩き出した時、違和感を覚えた。
足元のアスファルトがぬかるんだ地面みたいにやわらかく感じられたから。
同調するように周りの木々や家がゆがみだしている。
夢が終わりを迎えようとしているんだ……。
「ダメ。まだ、ダメ!」
ここで夢が終わってしまったらなんにもならない。
「お願い。まだここにいさせて。お願いだから!」
目をギュッとつむり人目もはばからず叫ぶけれど、セミの声はどんどん遠ざかっていくようだ。
「星弥のこと、もっと信用してやれよ」
「え?」
「好きな人に悲しい思いをさせたりしないし」
そこまで聞いて、やっと空翔が言わんとしていることがわかった。
私が星弥の浮気を疑っていると勘違いしているんだ。
「疑ってなんかないもん」
「そういうことじゃなくてさ……。ま、いいや」
「私、行くね。練習がんばって」
「お前はがんばりすぎんなよ」
空翔の声を背に走り出す。
校門を出たところで星弥に電話をかけるが、やっぱりつながらない。
ラインを送っても既読にならない。
焦る気持ちが再度体を熱くする。
額から流れた汗をぬぐい歩き出した時、違和感を覚えた。
足元のアスファルトがぬかるんだ地面みたいにやわらかく感じられたから。
同調するように周りの木々や家がゆがみだしている。
夢が終わりを迎えようとしているんだ……。
「ダメ。まだ、ダメ!」
ここで夢が終わってしまったらなんにもならない。
「お願い。まだここにいさせて。お願いだから!」
目をギュッとつむり人目もはばからず叫ぶけれど、セミの声はどんどん遠ざかっていくようだ。