「季節の変わり目、ってニュースでも言ってた。去年の今くらいから具合悪くなったでしょう? 一年間くらい、体調くすぶってるよね」

 もう一年か……。

 不登校気味になったのは最近のことだと思っていたけれど、そんなに経っていたんだ。
 なんて答えていいのかわからず、無意味に肩までの髪を指でなぞった。

「でも、月穂に会えてうれしい」

 麻衣はかわいい。
 長いまつ毛にまっ白い肌の持ち主で、私よりもすらっとした体型。
 一年生のときから同じクラスで、いちばん仲がよいクラスメイトだ。

「私もうれしい。ほんと、健康な体がほしいよ」

 嘆く私に麻衣は笑った。

 これでいい。

 すべて、もうひとりの私がしていること。しなくてはいけないこと。
 さっきバスで見かけたクラスメイトとも、教室では普通に話をする。
 一年前の自分がどんな感じだったのかもわからないまま、今も口のはしに笑みを意識している。