『流星群は、奇跡を運んでくるんだよ』

 君が教えてくれた言葉を、今でも覚えている。
 あれからどれくらいの月日が経ったのだろう?
 いろんなことがありすぎたけれど、今では思い出さないよう、記憶にフタをして過ごしている。

 私は元気だよ。学校では笑えてるし、はしゃいだりもする。
 でも、ふとしたことで急に泣きたくなったり、落ち込むことも。
 動きの予想がつかない、こわれたおもちゃになった気分。

 自分がこんなに弱いなんて思ってもいなかった。
 自己主張だらけのSNSも、わざとらしいバラエティ番組も見るのが怖くなり、ひとりなると自分の世界に閉じこもっている。
 『生きている』というより、『やり過ごしている』に近いのかもしれない。
 
 そんな私を、梅雨に始まった不思議な日々が変えてくれた。

 ーーううん、自分の意志で変わりたいって思えたの。

 空を見ればまばゆいほどの星空が輝いている。
 今にも落ちそうなほどはっきり見える星は、私の願いを叶えてくれるはず。

 七月七日。


 今夜、この町に――流星群がふる。