三つ歳が違うだけで、こんなにも違うんだ。
大人っぽくて頼り甲斐もあって、自分の人生にちゃんと責任を持っているような。
──きっと私には、無理。
このまま子どもで、成長すらできない。
──ぴろりろりろーん。
「いらっしゃいませ〜」
店内が開く音を聞いて真っ先に原さんがあいさつをした。
そして次に私も復唱しようと。
「いらっしゃいま……えっ?」
入り口へと顔を向けると、そこから入って来たのは。
「やあ、美月」
私に手を振る。
「……ち、千聖くん……?!」
今、話題の中心にいた彼だった。
開いた口が塞がらないとは、まさしくこのことで、口をぽかんと開けたまま目を見開いて固まった私。
……本物? 夢じゃなくて? 千聖くんは今ここにいるの?
「美月、今日バイト何時まで?」
彼の声がするりと耳に入り込み、ハッとすると、
「……いつも通り…だけど」
ここはコンビニで、公共の場。そんなところで彼と会って、心はざわざわと落ち着かない。
どきどきと胸が早鐘を打って。
「じゃあ終わるまで待ってる」
突飛なことを告げられるから、え、と困惑して声を漏らすと、
「待ってるから」
もう一度、私に優しく言葉を落とすと、微笑んでコンビニの外へ出て行った。
あまりにも突然のことで理解が追いつかなくて、何も言えずに固まった私に。
「ちょっと美月ちゃん、今の誰……?」
いつのまにかどこかへ消えていた原さんが、また戻って来て、食い入るように私のそばへと近づいた。
「え、あ…」
そうだ、どうしよう。今の原さんに見られてたんだ。なんて言えばいいのかな。
「好きな人? それとも彼氏?」
私が言葉に詰まらせている間にも話はどんどん飛躍していくから、慌てて。
「ちっ、違います!」
切羽詰まったように声を落として、
「……この前、言ってた人です」
息を整えたあとぽつりと声を漏らす。
一方的に拒絶した私が、もう一度千聖くんと仲直りするのは難しいと思ったけれど、原さんが背中を押してくれたおかげで今がある。
「うん、そっか。そうだったんだね」
今度は穏やかな表情を浮かべた。
店内は、慌ただしい波を終えて落ち着きを取り戻し、クリスマスに相応しいメロディーが流れている。
「じゃあ今年のクリスマスは、めいいっぱい楽しまなきゃね」
メロディーと一緒に流れてきた原さんの言葉。
「……え?」
めいいっぱい、楽しむ……?