*回想

 花火大会の日、咲良は花火を真剣に見ていたけれど、俺らはすぐに飽きて、暇だった。「あっちに行こう」って大翔が誘ってきたから、言われるがまま一緒に歩いた。歩いていくと崖についた。

「こっから落ちたら痛いのかな」
 大翔が身を乗り出し崖の下を覗いていた。

 このまま落ちてしまえばいいのに。
 そしたら、花丸木さん、そして咲良は大翔ではなくて、俺の事を好きになってくれる。

 そう思うだけで良かったのに行動に移してしまった。後ろから、軽く押してしまった。

 落ちるとは、こんなに大変な事になるとは思っていなかった。

 落ちてから、本当に一瞬の出来事のように時間は過ぎていった。