その真実を知ってから、何か特別な事が出来るわけではないけれど、一緒にいられる全ての時間が愛しくなった。

 現実に背を向けずに、きちんと向き合えるようになった気もする。彼の気持ちに、きちんと正直に向き合いたくて

「小さい時から好きでした」

 私は彼に伝えた。

「僕も」

 伝えたけれど、お互いに好きだけど、一緒にいられる時間には期限がある。彼がカラスになれば、きっと仲間の元へ行ってしまう。私から離れてしまうかもしれない。そして、カラスに戻ったら、彼の記憶が消えてしまうかもしれない事も聞いた。

 全てがなかった事になってしまうかもしれない。私の事、一緒に過ごしてきた時間。全て……。

 権力者の勝手な正義のせいで、男の人が戦いに行かなくてはならない状態になり、離れ離れになってしまう愛し合うふたりの物語の映画を思い出した。ふたりは別れの時、抱き合いながらずっと泣いていた。泣きながら「愛してる」って何回も声が枯れるくらい言い合っていたのを思い出した。

 お互い愛し合っているのに、別れないといけないのって、本当に辛い。