「えっ?」

 三人は一斉に同じ言葉を発した。

「僕ね、一年間だけ、人間の姿でいられるんだ」

 彼が人間に変身するまでの話を詳しくしてくれた。理解に時間がかかった。

 たった一年間。それなのに、離れた時間がとても長かった。やっぱり、あの時、手を離すべきではなかった。

「僕は残りの人間でいられる時間、みんなともっと大切に過ごしたい」

「やっぱり、残りの時間を知っても、特別な事をしてあげられる事は、僕には出来ないのかぁ。せめて、大翔がカラスになっても、また見守り続けたいな」

 お父さんは、息を吐くように呟いた。

「父さん、旅行、すごく幸せだったよ。他の事も全部!」

 お父さんは大翔の目を見て弱く微笑んだ。
 蓮は無言のまま、うつむいていた。