荷物を家に置いてきたお父さんも入ってきて、私達四人はひとつのテーブルを囲んで座った。

「まずね、僕、花火大会の日、全てを思い出したんだ。その日、後ろにふたりの気配を感じていたけれど、正直、僕を見捨てたふたりが憎くて、目を合わせたくなかった」

 その言葉を聞くと、蓮は薄く息を吐き、下を向いた。

「花丸木さ…とうさんと旅をして、気持ちが変わっていった。初めはリアルな天気も雨で、僕の心も雨が毎日降っていたけれど、だんだんと晴れの日が続いてきた。咲良と蓮、一緒に過ごした時の、良い思い出ばかりが沢山頭の中に流れてきたから……。そしてね、今日伝えたい事。僕、桜が咲いたら、カラスに戻ります」

 彼以外は誰も口を開かない。開けない雰囲気。誰かの唾を呑む音だけが聞こえる。