「大丈夫?」

 聞き覚えのある声。ぱっと顔を上げると目の前には、蓮がいた。

「何故ここにいるの?」
「えっ? あぁ、俺も花火見ようと思って。もしかしてここにいるんじゃないかな?って思ったら咲良がいた」

 あぁ、良かった。ひとりじゃない。現実世界に帰ってこれた。いや、そんな事よりも伝えなければ。一回深呼吸して気持ちを落ち着かせてから私は蓮に伝えた。

「あのね、大翔が突然いなくなったの。いつもと様子が違ったから心配で」

 蓮はお父さんに連絡した。

「花丸木さんも今すぐ来るって!」

 彼は私の手を優しく掴んだ。そして立ち上がらせると、手を掴んだまま歩き始めた。

 さっき思い出した光景と似ている。違うのは、今度はこっちの大翔がいなくなったのと、蓮が私の手を優しく引っ張っている。