「これが幸せかな。こうやって、手をつないで温かい気持ちになって、話も出来る。そして、空に綺麗な花が咲く瞬間を一緒に見ることが出来る。世の中の事を見ていると、それは当たり前の事なんかじゃなくて、奇跡に近いの。大翔のお陰で、今の幸せを知る事が出来た」

 咲良はこっちを見て、優しく微笑んだ。
 僕も自然に笑みが溢れてくる。

「僕も、咲良のおかげで色んな事を知れたよ。ありがとう」

 そう、人間になってからの心に響く、感情というものを。人間の言葉とか、行動とかは何故かずっと知っていたけれど、胸が痛くなったり、きゅんとしたり。

 咲良の手を、強く握りしめた。