暑くなってきた時期、彼女はあるものばかりをインターネットで見ていた。

 それは、空に浮かぶ色とりどりの輝く花が写っているもの。彼女はそれを花火と言っていた。

 何だかそれをリアルで見た事がある気がする。でも思い出そうとすると頭が痛くなる。だから思い出そうとするのを辞めた。

「ねぇ、花火見に行かない?」

「えっ?」

 彼女から初めて誘われた。

 頭が痛くなるのは、きっと気のせいだ。断る理由なんてなかった。むしろ彼女と家の中やこの辺りではない、別の場所へ行ける事にわくわくした。

 後から後悔するなんて、その時は全く思わなかった。