私の下には、さっきまで話していた最高の推しがいた。
「あれ? お姉さん、俺のこと知ってるの?」
そんな不思議そうな顔をしないで欲しい。
しかも、そう言ったということは本人だと言っているようなものだ。推しと、なんでもないただの帰り道で会えるなんて……。
それに、知ってるも何も私は――。
「レイヤくんは私の神様ですっ!!」
さっきまでのショックなど、この衝撃でどこかにいってしまった。
どうしよう。今目の前に大好きな推しがいる。私の神様が、話しかけてきている。これは夢? 幻?
「神様……? ファンってことかな……ありがとう?」
ふわぁぁぁ……レイヤくんが私を公認のファンにしてくれている!? きっとこの先、今日より幸せな日はないだろう。
「まさか……あの声が素敵なレイヤくんが……歌もダンスも完璧でピアノも上手いし、ギターもできる、なんでもこなすレイヤくんが……私の目の前にいる……!! あぁ、もう今世界が終わっても私は幸せだ……」