部屋にあるグッズを指さしながらそう言う。確かに、そんなことするつもりはないけれど、それを見抜かれていたということに驚きだ。
「もし私が裏切ったら?」
「その時は、俺の見る目がなかったというだけだよ」
そこまで言われてしまっては何も言い返せない。
「それで? お姉さんの名前は?」
「木野さとみ……ちなみに25歳でOL……です」
冷静に見えるようにとそう言ったけれど、内心では怜也くんが私の名前を聞いてる!? もしかして名前で呼んでくれるかも! とハイテンションで悶えていた。
そして、その希望に怜也くんは答えてくれる。
「さとみさん、やっぱり年上だったんだね。少しのあいだお世話になります。よろしくね」
「こ、こちらこそ……」
――怜也くんが……私の名前を。さとみって呼んだ……あの声で、あの響きで!
「はぅぅぅ……」
思わず声が漏れてしまう。
とりあえず落ち着こうと、怜也くんをソファーに促し、私はその正面に正座で床に座った。