「申し訳ございませんでした!」
地面に頭をめり込ませられるくらい深く私はコンクリートの上で土下座した。
土下座する私の頭を踏むのは全体的に黒い色白の女。レイミちゃんのマネージャーだということだった。やばい、さっき人間かどうか尋ねちゃった……なんて失礼なことを。
「困りますねお客様……あなたが暴れたおかげで大半のお客様が成仏してしまったのですが」
「ま、まあまあしーちゃん。悪気があったわけではないようですし、そのくらいで。それに私の歌を聞いた方は大抵成仏してしまうじゃないですか~。も~」
「……それもそうですね。では許してやりますか」
マネージャーさんの足が私の頭からどいた。顔を上げると生レイミちゃんが私をのぞき込んでいた。な、生レイミが私を見てるッッ!
「しーちゃん許してくれるみたいです! よかったですね、えっと……お名前は?」
私はしゅばっと立ち上がり、背筋を伸ばした。
「夜橋夕子です! レイミちゃんの大ファンです! 握手してください!」
「よるはし、ゆうこ……さん? ……ああ! いつも私の動画に一番にコメントくれるあの夜橋さん!? わ~、こんなところで会えるなんて……いつも動画を見てくれてありがとうございます! 今、廃墟ライブツアー開催中なんです。よければぜひ!」
底抜けに明るい笑顔でレイミちゃんがぺこりと頭を下げる。
あああああ! がわいいいいいい!!
「ぜひ行きます! あ、あの! 握手してください!」
両手を差し出すと、レイミちゃんは悲しい顔をした。
「その、ごめんなさい。あなたと触れ合うことはできないんです……」
「あ……そ、そうですよね! レイミちゃんアイドルですもんね! 私みたいな底辺除霊師アラサー間近女に触れられたらアラサーが伝染っちゃいますよね……あは、ははは」
やばい、泣きそう。
堪えろ、こらえるのよ私、上を向いて、こらえるの! あ、天井のシミ顔に見える……。
「レイミ、この人泣きそうよ。勘違いは解いた方がいいんじゃない?」
マネージャーがぼそりとレイミちゃんに言った。レイミちゃんは慌てて私に補足した。
「あ、あのあの! そういうことじゃなくて! ファンの方は皆大事です! でもそのあの、生身の人とは触れ合えないと言うか……」
レイミちゃん優しいなぁ。独身でキモオタな私なんかのことを気遣ってくれるなんて。
「いいの、レイミちゃんが輝き続けてくれることが私達レイミストの願い……アラサーをうつしかねない私はやっぱり画面の向こうから応援するのがお似合いよ……」
「なんかうざいですねこれ。追い出しますかレイミ?」
「しーちゃんは黙ってて! あの、あの夜橋さん私アラサーをうつされるとか思ってないですからね! あの、私、その……!」
レイミちゃんは決心したように私の手に自分の手を重ねた。
「…………透けた?」
私が目を見開くと、レイミちゃんは顔をしかめた。
「ごめんなさい! 私、幽霊なんです!!」
地面に頭をめり込ませられるくらい深く私はコンクリートの上で土下座した。
土下座する私の頭を踏むのは全体的に黒い色白の女。レイミちゃんのマネージャーだということだった。やばい、さっき人間かどうか尋ねちゃった……なんて失礼なことを。
「困りますねお客様……あなたが暴れたおかげで大半のお客様が成仏してしまったのですが」
「ま、まあまあしーちゃん。悪気があったわけではないようですし、そのくらいで。それに私の歌を聞いた方は大抵成仏してしまうじゃないですか~。も~」
「……それもそうですね。では許してやりますか」
マネージャーさんの足が私の頭からどいた。顔を上げると生レイミちゃんが私をのぞき込んでいた。な、生レイミが私を見てるッッ!
「しーちゃん許してくれるみたいです! よかったですね、えっと……お名前は?」
私はしゅばっと立ち上がり、背筋を伸ばした。
「夜橋夕子です! レイミちゃんの大ファンです! 握手してください!」
「よるはし、ゆうこ……さん? ……ああ! いつも私の動画に一番にコメントくれるあの夜橋さん!? わ~、こんなところで会えるなんて……いつも動画を見てくれてありがとうございます! 今、廃墟ライブツアー開催中なんです。よければぜひ!」
底抜けに明るい笑顔でレイミちゃんがぺこりと頭を下げる。
あああああ! がわいいいいいい!!
「ぜひ行きます! あ、あの! 握手してください!」
両手を差し出すと、レイミちゃんは悲しい顔をした。
「その、ごめんなさい。あなたと触れ合うことはできないんです……」
「あ……そ、そうですよね! レイミちゃんアイドルですもんね! 私みたいな底辺除霊師アラサー間近女に触れられたらアラサーが伝染っちゃいますよね……あは、ははは」
やばい、泣きそう。
堪えろ、こらえるのよ私、上を向いて、こらえるの! あ、天井のシミ顔に見える……。
「レイミ、この人泣きそうよ。勘違いは解いた方がいいんじゃない?」
マネージャーがぼそりとレイミちゃんに言った。レイミちゃんは慌てて私に補足した。
「あ、あのあの! そういうことじゃなくて! ファンの方は皆大事です! でもそのあの、生身の人とは触れ合えないと言うか……」
レイミちゃん優しいなぁ。独身でキモオタな私なんかのことを気遣ってくれるなんて。
「いいの、レイミちゃんが輝き続けてくれることが私達レイミストの願い……アラサーをうつしかねない私はやっぱり画面の向こうから応援するのがお似合いよ……」
「なんかうざいですねこれ。追い出しますかレイミ?」
「しーちゃんは黙ってて! あの、あの夜橋さん私アラサーをうつされるとか思ってないですからね! あの、私、その……!」
レイミちゃんは決心したように私の手に自分の手を重ねた。
「…………透けた?」
私が目を見開くと、レイミちゃんは顔をしかめた。
「ごめんなさい! 私、幽霊なんです!!」