紬は有言実行で私にずっとピッタリで

引っ越すからと言っても高校を一緒に無理してでも同じにしてくれたのだ

そして今に至る

「昔を思い出したよ」

私は込み上げてくるものを素直に受け入れる

「月…泣かないでよ」

紬はまた涙を流し始め、頬を挟んでいた手を引っ込めて涙を拭っていた

「私、また泣いているの?」

「泣いてるよ、初めて会った日以来だね」

あの日もこう泣いていたのだろうか

「本当に懐かしいね」

紬は笑いながら泣いている

私はその姿につられて笑ったと思う

「私、何してたんだろう」

私の言葉は虚しくて、今までのことをより一層後悔させた

「ねぇあの日の約束を覚えてる?」

「もちろんだよ」

「どんなことがあっても友達だから」

この約束を破ったのは私だった

「指切りげんまんしたのにね、針千本飲まなきゃ」

私は少し冗談交じりに笑った

「新しい約束をしよう」

「私、また破るかもしれないよ」

紬は少し悲しそうに笑った

「月の約束破りは経験したから慣れたよ」

そう冗談を返す

「そうだよね…いいよ、しよう」

私はきっとまた針千本を飲むことになるだろう

それでもいいから

何も無い暗い未来なんて考えなくてもいいんだよね

だったら明日のために約束をしよう

「一人にならないようにずっと一緒にいる」

紬はブランコに乗りながらそう言った

「分かった、じゃあ…はい」

私は小指を紬に向けた

「指切りげんまん、嘘ついたら」

紬は小指を絡ませて歌いはじめる

「「指きった」」

2人で最後を締めくくった

「紬はまた守れない約束するよね」

私は紬の顔を見ずに前を向きながら言った

「少しでも月をつなぎとめたくて」

「私の恋人か何かかな」

私は少し笑いながらそう言った

「何でもいい。だから生きて。生きて一緒に桜を見るの。進級して、クラス離れたあって言い合うの」

紬は見えない未来を話す

私が喉から手が出るほど欲しい未来かもしれない

「学校行事は誰よりも楽しんでやる」

私はその話にのった

「それでテストで赤点とるの」

いつまでしていたのだろう
私は自然に笑っていて、本当にそうなる気がした

「はぁー!久しぶりにここに来て話せたね」

紬は立ち上がって伸びをしながら言う

「もうすぐ日が落ちそうだし、帰ろうか」

そうだよねって紬は言った

「また病室に戻っても会いに来てね」

私の素直な気持ちで何も包み隠さない言葉

「当たり前だよ、拒否したら許さない」

紬は笑いながら返してくれた