「さて、準備しよう!」

 長いテーブルの上に並べられた額縁に入っている絵。数ある中から飾る絵を1枚選ぶ。

大人になってから母校で蒼空と大和が無邪気な笑顔でサッカーをしている絵。

 別の絵も順番に飾っていった。

 そして、雪が降っている海の風景の中に満月を見上げている3人の後ろ姿が描かれた絵を最後に飾った。

 自分の手で飾られた最後の絵を見ていると、何故か長く夢見ていた願いが叶った気がした。

 

(絵を飾る時、美月の手にはガラスで切った深い古傷の後がうっすらとあった)