#3人の約束、夢叶う


 再び海の砂浜で横になった。

 毎回、すーっと自分が透明になっていく感じがする。

 色んなことを考える。

 この世界からいなくなったら、僕の存在はどうなるのだろうか……誰かの心の片隅でも良いから存在していたい。

蒼空、嘘ついたこと怒ってないかな。

美月、もう自分には何もないって言葉、言わないでいてくれるかな。

僕がいなくても、夢のおかげであの出来事は起こらずに、ふたりは幸せに過ごせる運命なのかも知れないけれども。

何かふたりの為になることが出来ていたら良いな。

幸せになってほしい……。

 そんなことを考えていたら、ふたりが僕を呼んでいる気がした。

 けれど、僕の目はもうぼやけてきて、うっすらと満月の光と、その光の反射でキラキラしている水面しか見えない。

このまま眠ったらまたあっちに戻れるのかな…
戻れなかったらどうしよう……。

 ふわふわと雪が降ってきて顔に当たった。
 仰向けになり、そっと目を閉じた。

 瞼の上に当たって溶けた雪が流れて、頬を伝う感触は涙みたいだった。

 耳元で

「大和、長い間ありがとう」

って聞こえた気がしたから僕は

“こちらこそ本当にありがとう”。

と、心の中で答えた。